peopleーフスの人たち

ルクプラント
ーズ職人

世の中のどこにもないもの

僕は大学卒業後、チーズをより深く学ぶためにオランダへ行き、牧場とチーズ工房が一つになった「チーズ農家」に住み込みで仕事をしていました。
搾乳やチーズ製造について学びながら、オランダ国内、イギリス、イタリア、フランス等、様々な国のチーズ工房の見学に行っていました。

その中で実感したのは、作り方が同じチーズでも、その地域、その工房で、味わいが違うということでした。
味以外にも、香りや食感、色さえも違う、全くの別物に仕上がるのです。

その決め手は、牛乳でした。

牛乳の違いなんてあまり気にしたことが無い方も多いかもしれませんが、実は牛乳は牧場ごとに味が違うのです。
それは飼っている牛の種類や、その牛が食べているエサや飲んでいる水が違う、暮らす環境の違いから生まれる味わいです。

蔵では、地元の一軒の酪農家さんから生乳を仕入れています。
フリーバーンという牛にストレスの掛からない放し飼い牛舎で、自家栽培のエサを食べ、健康に育った母牛たちから搾られる生乳です。
この生乳を低温殺菌した蔵牛乳は「牛乳ってこんなに香りが立つもの!?」と度肝を抜かれるような美しい風味を持っています。

その蔵の牛乳を扱う僕たち作り手の仕事は、蔵の牛乳のポテンシャルを引き出し、チーズという形で表現すること。
熟成温度をたった1度上げるだけで風味が増したり、水分をほんの少し多く抜くと菌がぐっと育ったりすることもあります。
どんなチーズにしたいかイメージを作って、その日の牛乳に合わせたバランスを緻密に組み上げていく、繊細で面白い時間でもあります。

蔵のチーズづくりにお手本はありません。
だからこそ、僕が作るチーズで、これまでのチーズの概念を変えるような体験をお客さんにしてもらいたいです。
何度も何度も失敗を重ねながら、世の中のどこにもない、蔵牛乳でしか表現できないチーズを作り上げたいと思います。


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